「あげます」とはどういう意味ですか?

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「あげます」は、話し手から聞き手または第三者への無償の譲渡を表す丁寧な表現です。贈与やプレゼント、好意による提供といった状況で使われ、一方的な行為であることが強調されます。「くれます」との違いは、主体が話し手にある点です。所有権の移転を明確に示す際に用いられます。
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「あげます」とは、日本語において非常に重要な、しかし微妙なニュアンスを持つ動詞です。単に「与える」という意味にとどまらず、話し手と聞き手の関係性、状況、そして何より話し手の気持ちまでを反映した、奥深い表現なのです。本稿では、「あげます」の意味を多角的に分析し、その使い分け、そして「くれます」との違いを詳細に解説します。

「あげます」の根本的な意味は、話し手から聞き手、または第三者への「無償の譲渡」です。これは、単なる行為ではなく、話し手の意思によって一方的に物や権利などを相手に渡すことを意味します。相手がそれを求めているかどうかに関わらず、話し手が自発的に「あげる」という意思決定を行っている点が重要です。この点において、「あげます」には、強い主体性と一方的な行為であることが強調されています。

例えば、「このケーキ、あげます。」という表現は、単にケーキを渡すという行為だけでなく、話し手が自分の意思で、無償でケーキを相手に与えるという強い意思表示を含んでいます。相手がケーキを欲しがっていようがいまいが、話し手は自分の意思でそれを「あげる」ことを決定しています。 これは、単に「どうぞ、食べてください」と渡すのとはニュアンスが大きく異なります。「どうぞ、食べてください」は、相手への配慮や勧誘のニュアンスが強く、「あげる」ほどの強い主体性や一方的な譲渡の意思は含まれていません。

「あげます」は、贈与やプレゼントの場面で頻繁に使用されます。誕生日プレゼントを贈る際、「これ、あげるね。」という表現は、親しい間柄であれば自然で親しみのある表現となります。しかし、フォーマルな場面では、「差し上げます」など、より丁寧な表現が用いられるでしょう。 この違いは、話し手と聞き手の関係性、そして場面のフォーマル度によって適切な表現が選択されることを示しています。

「あげます」とよく比較されるのが「くれます」です。両者とも「与える」という意味を持ちますが、大きな違いは「主体」にあります。「あげます」の主体は話し手、「くれます」の主体は聞き手以外の第三者です。「友達がケーキをくれた」と言う場合、「くれる」のは友達であり、話し手はただ受け取る立場です。一方、「友達にケーキをあげた」と言う場合は、話し手が主体となってケーキを友達に与えていることを示しています。

所有権の移転という点においても、「あげます」は明確な意思表示となります。例えば、「この本、あげます。」と言った場合、話し手は本に対する所有権を放棄し、相手に所有権を移転することを宣言していると言えるでしょう。 単に貸し出す場合や、一時的に使用を許可する場合には、「あげます」ではなく、「貸します」「使わせてあげます」といった表現が適切です。

このように、「あげます」は、一見単純な言葉ですが、その背景には話し手の強い意思、一方的な行為、そして所有権の移転といった重要な要素が込められています。 状況や相手との関係性、そして伝えたいニュアンスを理解した上で適切に使い分けることが、円滑なコミュニケーションに繋がります。 「あげる」という行為の裏側にある、話し手の心情や意図を理解することで、より深く日本語の奥深さを味わうことができるでしょう。

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