「拝読致しました」は二重敬語ですか?

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「拝読いたしました」は二重敬語にあたります。「拝読」自体が謙譲語であり、尊敬の気持ちを示す表現として十分です。そこにさらに謙譲表現の「させていただく」を加えることで、過剰な敬意表現となり、不自然に聞こえる場合があります。

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「拝読いたしました」は本当に二重敬語なのか?言葉のプロが徹底解説

「拝読いたしました」という表現、ビジネスシーンやフォーマルな場面でよく耳にしますよね。相手の文章を読んだことを丁寧に伝える便利な言葉ですが、「これは二重敬語ではないか?」と疑問に思ったことはありませんか? インターネット上には「二重敬語だ」という情報も散見されますが、本当にそうなのでしょうか?

結論から言うと、ケースによっては二重敬語とみなされる可能性がありますが、一概に間違いとは言えません。 なぜそう言えるのか、詳しく解説していきましょう。

「拝読」の意味と敬語の種類

まず、「拝読」という言葉自体の意味と、敬語の種類を確認しましょう。「拝読」は、「読む」という行為の謙譲語です。つまり、自分がへりくだることで相手への敬意を表す表現です。

敬語には大きく分けて、尊敬語、謙譲語、丁寧語の3種類があります。

  • 尊敬語: 相手の行為を高めることで敬意を表す(例:「お読みになる」「ご覧になる」)
  • 謙譲語: 自分の行為をへりくだることで敬意を表す(例:「拝読する」「拝見する」)
  • 丁寧語: 言葉遣いを丁寧にすることで敬意を表す(例:「です」「ます」)

「拝読」は謙譲語に分類されます。

「~いたしました」の役割

次に、「~いたしました」について見てみましょう。「いたしました」は「する」の謙譲語「致す」の過去形であり、丁寧語の「ます」が付いた形です。この表現は、自分の行為を丁寧に伝えるとともに、相手への敬意を表す役割があります。

問題点と許容範囲

問題は、「拝読」という謙譲語に、さらに「いたしました」という丁寧語・謙譲語的な要素を加えることで、敬意表現が過剰になる可能性がある点です。

確かに、相手が非常に高い地位にある人物や、特別な敬意を払うべき相手に対しては、「拝読いたしました」という表現は、より丁寧な印象を与えることができます。しかし、通常の場合、そこまで丁寧な表現を必要としないケースも多いでしょう。

例えば、上司からのメールに対する返信で「拝読いたしました」を使うのは、状況によってはやや過剰な敬意表現と捉えられる可能性があります。より自然な表現としては、「拝見しました」や「読ませていただきました」などが挙げられます。

状況に応じた使い分け

大切なのは、相手との関係性、状況、そして伝えたいニュアンスを考慮して、最適な表現を選ぶことです。

  • より丁寧な表現が必要な場合: 「拝読いたしました」
  • 通常のビジネスシーン: 「拝見しました」「読ませていただきました」
  • 親しい間柄: 「読みました」「見ました」

このように、状況に応じて言葉を使い分けることが、より自然でスマートなコミュニケーションにつながります。

まとめ

「拝読いたしました」は、必ずしも二重敬語として間違いとは言えませんが、状況によっては過剰な敬意表現と捉えられる可能性があります。相手との関係性や状況を考慮し、より適切な表現を選ぶように心がけましょう。言葉は常に変化していくものなので、柔軟な対応が求められます。

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