SNSで得た情報をもとに投資を行い、大きな損失を出した経験があります。具体的な金額を明かすのは気が引けますが、数百万円単位の損失です。投資先は、当時SNSで「爆上げ必至」「億り人製造機」などと喧伝されていた、ある新興企業の株式でした。
きっかけは、YouTubeでたまたま見かけた、その企業の創業者兼CEOを名乗る人物のインタビュー動画でした。その人物は、カリスマ性にあふれており、熱い口調で自社の革新的な技術と将来性について語っていました。AIを活用した全く新しいサービスで、既存の産業構造を破壊し、世界を変えるポテンシャルがある、と。
動画のコメント欄は、「この会社に未来を託す」「絶対成功する」といった肯定的な意見で溢れていました。さらにTwitterでも、同様の意見が飛び交い、その企業の株を購入したという報告が相次いでいました。「わずか数日で株価が倍になった」「初期投資の数倍のリターンを得た」といった成功談が、私を強く惹きつけました。
当時の私は、投資経験はほとんどなく、株式投資について基本的な知識しか持ち合わせていませんでした。しかし、そのCEOの言葉と、SNS上で飛び交う成功談に完全に魅了され、「これはチャンスだ。乗り遅れるわけにはいかない」と焦燥感に駆られました。
冷静に考えれば、リスクが高いことは明らかでした。しかし、当時の私は、目の前にぶら下げられたニンジンに夢中で、リスクを顧みることができませんでした。企業の財務諸表をきちんと分析することもなく、事業内容を深く理解することもなく、ただ「儲かる」という言葉に踊らされ、安易に投資を決断してしまいました。
投資後、最初は株価は順調に上昇しました。SNS上では、私の投資判断を称賛する声も上がりました。「さすが先見の明がある」「一緒に億り人を目指しましょう」といった言葉に、私はますます陶酔していきました。
しかし、株価の上昇は長くは続きませんでした。数週間後、企業の不正会計疑惑が浮上し、株価は急落しました。SNS上では、一転して批判的な意見が飛び交い、「詐欺だ」「騙された」といった声が溢れました。

私は、狼狽しながらも株を持ち続けました。損失確定を恐れ、いつか株価が回復するだろうと、根拠のない希望にすがり続けました。しかし、株価はさらに下落し、ついには上場廃止となってしまいました。
最終的に、私は投資した金額のほとんどを失うことになりました。大きな損失を抱えただけでなく、精神的にも大きなダメージを受けました。眠れない日々が続き、仕事にも集中できませんでした。
この経験から、私は多くの教訓を得ました。まず、SNSの情報は鵜呑みにしないこと。SNSは、匿名性が高く、虚偽の情報や誇張された情報が蔓延しやすい場所です。特に投資に関する情報は、個人の主観的な意見や、特定の意図を持った情報操作が含まれている可能性があるため、注意が必要です。
次に、投資は自己責任で行うこと。他人の意見や情報に流されず、自分でしっかりと情報収集し、分析し、判断することが重要です。企業の財務諸表や事業内容を理解することはもちろん、業界の動向や競合他社の状況など、多角的な視点から検討する必要があります。
そして、リスク管理を徹底すること。投資は、必ず損失を伴う可能性があります。投資する金額は、失っても生活に支障がない範囲に限定し、分散投資を行うなど、リスクを軽減するための対策を講じることが重要です。
最後に、冷静な判断力を保つこと。株価が急騰したり、急落したりした場合でも、感情に左右されず、冷静に状況を判断し、適切な行動を取ることが重要です。狼狽売りや、根拠のない買い増しは、損失を拡大させる原因となります。
この経験を通して、私は投資に対する姿勢を大きく変えました。今は、SNSの情報を一切信用せず、自分自身でしっかりと情報を収集し、分析し、リスク管理を徹底した上で、長期的な視点で投資を行うように心がけています。
失敗は成功の母と言いますが、私はSNS情報を鵜呑みにした安易な投資で大きな損失を経験したからこそ、投資の本質を理解し、成長することができました。今では、あの時の経験を糧に、着実に資産を形成できるようになりました。