亀田大毅、岩田戦を語る:判定への胸中と、その先の未来
2024年5月6日、エディオンアリーナ大阪。元世界王者の亀田大毅が、再起をかけたリングで岩田翔吉と激突した。結果は、8ラウンド判定の末、岩田の勝利。しかし、試合後、亀田の口から出た言葉は、判定への複雑な思い、そして、その先の未来を見据えた決意表明だった。
試合直後、亀田の表情には、敗北の悔しさと同時に、やり切ったという充実感が入り混じっていた。応援に駆けつけたファンや関係者への感謝の言葉を述べながらも、判定に対する疑問を隠せない様子だった。「もちろん、負けたのは自分の実力不足。それは認めます。ただ、内容に関しては、もっと評価されても良かったのではないか、という気持ちはあります」と、率直な心境を吐露した。
亀田は、試合全体を通して、積極的に攻勢を仕掛けた。序盤からプレッシャーをかけ続け、ボディブローを中心に、岩田のスタミナを削る作戦を展開。中盤には、得意の接近戦で優位に立ち、連打を浴びせる場面も見られた。一方、岩田は、距離を取りながら、カウンターを狙う展開。互いに譲らない、一進一退の攻防が続いた。
しかし、判定の結果は、ジャッジ三者ともに、岩田の勝利を支持。この結果に対し、亀田は、「ジャッジの採点基準が、自分とは違ったのかもしれません。もっとアグレッシブに攻めた方が評価されるのか、それとも、クリーンヒットの数なのか。自分には、その基準がよく分かりませんでした」と、戸惑いを隠せない。

特に、終盤のラウンドでは、亀田が攻勢を強め、岩田をロープに追い詰める場面も多かった。しかし、ジャッジは、岩田の防御や、要所で見せたカウンターを評価したようだ。亀田は、「もちろん、岩田選手も素晴らしいファイターです。彼の勝利を否定するつもりはありません。ただ、自分自身が、もっと明確に勝つためには、何が必要なのか、という課題が見えた試合でした」と、冷静に分析する。
判定への不満はありつつも、亀田は、今回の敗戦を、ただの挫折として捉えていない。むしろ、自身の成長を促す、貴重な経験と捉えているようだ。「今回の試合を通して、自分の強みと弱みが、改めて明確になりました。今後は、この経験を活かし、さらにレベルアップしていきたい」と、力強く語る。
具体的には、フィジカル面の強化に加え、戦術の幅を広げることにも意欲を見せている。「これまでは、自分のスタイルを貫くことに集中していましたが、これからは、相手に合わせて戦い方を変える柔軟性も身につけていきたい。そのためには、様々なタイプの選手とスパーリングを重ね、経験を積むことが重要だと考えています」と、具体的な目標を掲げる。
さらに、亀田は、今回の試合で得た教訓を、後進の育成にも活かしていきたいと考えている。「自分自身が経験した苦労や喜びを、若い選手たちに伝え、彼らの成長をサポートしたい。それが、ボクシング界への恩返しになると思っています」と、指導者としての可能性も視野に入れていることを明かした。
今回の岩田戦は、亀田大毅にとって、再起をかけた重要な一戦だった。結果は敗北に終わったものの、彼は、その経験を糧に、さらなる高みを目指そうとしている。判定への不満を抱えながらも、冷静に自己分析を行い、未来を見据える彼の姿は、多くの人々に感動を与えた。今後の彼の活躍に、期待が高まる。