最終回オルガンプロムナードの曲目は、オルガン音楽の歴史と多様性を示す選曲であり、各演奏者の個性と技術が際立つプログラム構成となっていました。
まず、バロック時代を代表する作曲家、ヨハン・セバスティアン・バッハの作品から始まりました。彼の作品は、オルガンの可能性を最大限に引き出した複雑な対位法と壮大な構成が特徴であり、オルガン音楽の基礎を築いたと言えるでしょう。具体的には、フーガの技法を駆使したトッカータとフーガ ニ短調 BWV 565、コラールプレリュード、そしてパッサカリア ハ短調 BWV 582などが演奏されました。これらの作品は、オルガンの多彩な音色と響きを活かし、バッハの音楽的深さを表現していました。特にパッサカリアは、低音のオスティナート(反復音型)の上に展開される変奏曲であり、徐々に盛り上がりを見せる壮大な構成は聴衆を圧倒しました。
次に、バロック時代から古典派への移行期に活躍した作曲家、ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルのオルガン協奏曲が演奏されました。ヘンデルは、オペラやオラトリオなど声楽作品でよく知られていますが、オルガン協奏曲も彼の重要な作品群の一つです。彼のオルガン協奏曲は、華やかで技巧的な旋律と、オーケストラとの対話が特徴であり、オルガンのソロ楽器としての魅力を引き出しています。具体的には、オルガン協奏曲 変ロ長調 作品4-6、オルガン協奏曲 ヘ長調 作品4-4などが演奏されました。これらの協奏曲は、オルガンの明るく輝かしい音色と、オーケストラの色彩豊かな響きが見事に融合し、聴衆を魅了しました。

さらに、ロマン派時代の作曲家、フェリックス・メンデルスゾーンのオルガンソナタが演奏されました。メンデルスゾーンは、バッハの音楽を再評価し、ロマン派音楽にバッハの様式を取り入れた作曲家として知られています。彼のオルガンソナタは、バロック時代の対位法的な書法と、ロマン派的な感情表現が融合した作品であり、オルガンの表現力を高めました。具体的には、オルガンソナタ 第1番 ヘ短調 作品65-1、オルガンソナタ 第6番 ニ短調 作品65-6などが演奏されました。これらのソナタは、オルガンの荘厳な響きと、メンデルスゾーンの繊細な旋律が調和し、聴衆の心を揺さぶりました。
加えて、ロマン派後期から20世紀にかけて活躍した作曲家、マックス・レーガーの作品も演奏されました。レーガーは、バッハの対位法的な書法をさらに発展させ、複雑で重厚なオルガン音楽を作曲しました。彼の作品は、高度な演奏技術を必要とする難曲が多く、オルガニストの腕の見せ所と言えるでしょう。具体的には、幻想曲とフーガ ニ短調 作品135b、序奏、パッサカリアとフーガ ホ短調 作品127などが演奏されました。これらの作品は、オルガンの圧倒的な音量と、レーガーの音楽的深さが融合し、聴衆に強烈な印象を与えました。
最後に、現代音楽の作曲家、オリヴィエ・メシアンの作品が演奏されました。メシアンは、独特な和声やリズム、そして鳥の歌の模倣など、革新的な音楽語法を用いた作曲家です。彼のオルガン作品は、宗教的なテーマや神秘的な世界観を表現しており、オルガンの可能性をさらに広げました。具体的には、『キリストの昇天』より「昇天の賛歌」、「聖体秘蹟の祭壇」より「御子の祈り」などが演奏されました。これらの作品は、オルガンの色彩豊かな音色と、メシアンの幻想的な音楽が融合し、聴衆を異次元の世界へと誘いました。
このように、最終回オルガンプロムナードの曲目は、バッハからメシアンまで、オルガン音楽の歴史と多様性を網羅したプログラム構成となっていました。それぞれの作曲家の個性と、オルガニストの高度な技術が融合し、聴衆に感動と興奮を与えました。