脳神経の異常の症状は?

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脳神経異常は、意識障害、失語症などの言語障害、麻痺や筋力低下といった運動障害、視覚・聴覚・触覚異常などの感覚障害、さらにはめまいを伴う平衡感覚障害など、多様な症状を引き起こします。症状の現れ方は神経系の障害部位や程度によって大きく異なります。

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脳神経異常:見過ごされがちな初期症状と深刻な影響

脳神経は、脳と身体の各部位を直接結びつける重要な神経であり、その数は12対存在します。視覚、聴覚、味覚、嗅覚といった感覚情報から、顔の表情筋の制御、嚥下、発声など、生命維持に不可欠な機能を担っています。そのため、脳神経に異常が生じると、日常生活に大きな支障をきたす様々な症状が現れることがあります。

しかし、脳神経異常の初期症状は、他の疾患と区別がつきにくく、見過ごされてしまうことも少なくありません。例えば、軽度の顔面麻痺は疲労やストレスによる一時的なものと判断されたり、味覚や嗅覚の変化は風邪の初期症状と勘違いされたりすることがあります。

以下に、各脳神経の異常によって起こりうる具体的な症状と、注意すべきサインをまとめました。

I. 嗅神経(嗅覚):

  • 症状: 嗅覚の低下(減退)、嗅覚の消失(無嗅覚)、異臭を感じる(異嗅症)
  • 注意点: 風邪や鼻炎がないのに嗅覚異常が続く場合は、脳腫瘍や外傷による神経損傷の可能性も考慮する必要があります。

II. 視神経(視覚):

  • 症状: 視力低下、視野狭窄、視野欠損、複視、視神経乳頭浮腫
  • 注意点: 視力低下が徐々に進行する場合や、視野の一部が見えにくい場合は、緑内障や視神経炎などの疾患が疑われます。急激な視力低下や複視は、脳卒中や動脈瘤の兆候である可能性もあります。

III, IV, VI. 動眼神経、滑車神経、外転神経(眼球運動):

  • 症状: 眼球運動障害(眼球が動かしにくい、動かない)、複視、眼瞼下垂
  • 注意点: 物が二重に見える、片方のまぶたが下がるなどの症状は、脳神経麻痺や重症筋無力症などが原因として考えられます。

V. 三叉神経(顔面の感覚、咀嚼):

  • 症状: 顔面の痛み、痺れ、感覚麻痺、咀嚼筋の麻痺、角膜反射の消失
  • 注意点: 顔面の激しい痛みは三叉神経痛の可能性があります。咀嚼困難や顔面の感覚異常は、脳腫瘍や脳梗塞などの疾患が原因となることもあります。

VII. 顔面神経(顔の表情、味覚、涙、唾液):

  • 症状: 顔面麻痺(顔の片側が動かない、表情が作れない)、味覚異常(舌の前方2/3の味覚)、涙や唾液の分泌異常、聴覚過敏
  • 注意点: 顔面麻痺はベル麻痺や帯状疱疹ウイルス感染などが原因として考えられます。顔面麻痺に加えて、めまいや聴覚異常を伴う場合は、脳腫瘍の可能性も考慮する必要があります。

VIII. 内耳神経(聴覚、平衡感覚):

  • 症状: 難聴、耳鳴り、めまい、平衡感覚障害
  • 注意点: めまいは、メニエール病や良性発作性頭位めまい症など、様々な原因が考えられます。難聴や耳鳴りを伴うめまいは、聴神経腫瘍の可能性もあります。

IX, X. 舌咽神経、迷走神経(嚥下、発声、味覚、内臓機能):

  • 症状: 嚥下困難、発声障害(声のかすれ)、味覚異常(舌の後方1/3の味覚)、嗄声、呼吸困難、不整脈
  • 注意点: 嚥下困難や発声障害は、脳卒中や神経筋疾患などが原因として考えられます。特に、高齢者の場合は、誤嚥性肺炎のリスクが高まるため、早めの受診が必要です。

XI. 副神経(肩の挙上、首の回旋):

  • 症状: 肩の挙上困難、首の回旋困難
  • 注意点: 肩や首の筋肉の麻痺は、副神経麻痺が原因として考えられます。

XII. 舌下神経(舌の運動):

  • 症状: 舌の麻痺、構音障害、嚥下困難
  • 注意点: 舌の麻痺は、脳卒中や脳腫瘍などが原因として考えられます。舌の萎縮や線維束攣縮が見られる場合は、進行性球麻痺などの神経変性疾患の可能性も考慮する必要があります。

上記以外にも、脳神経異常は様々な症状を引き起こす可能性があります。もし、気になる症状がある場合は、自己判断せずに、早めに神経内科や耳鼻咽喉科を受診し、専門医の診察を受けることをお勧めします。早期発見と適切な治療により、症状の進行を抑え、生活の質を維持することが重要です。

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