低体温がずっと続く原因は何ですか？

なぜ、低体温がずっと続くのか？ – 体温調節のメカニズムと慢性的な低体温の真実

「低体温」と一口に言っても、一時的なものから慢性的なものまで、様々な状態があります。上記の説明は一般的な低体温について触れていますが、ここではさらに掘り下げて、なぜ低体温が慢性的に続くのか、その背景にある複雑な要因について詳しく解説していきます。

私たちの体温は、脳の視床下部という部分にある体温調節中枢によって厳密にコントロールされています。この体温調節中枢は、体内の様々なセンサーからの情報を基に、熱の産生と放散のバランスを調整することで、体温を一定に保とうとします。しかし、この繊細なシステムが何らかの原因で機能不全に陥ると、慢性的な低体温を引き起こす可能性があります。

慢性的な低体温の原因は多岐にわたりますが、大きく分けて以下の３つのカテゴリーに分類できます。

１．体温調節中枢の機能不全:

• 視床下部の異常: 脳腫瘍、外傷、炎症などによって視床下部が直接的なダメージを受けると、体温調節機能が阻害され、慢性的な低体温につながることがあります。
• 自律神経系の乱れ: ストレス、睡眠不足、不規則な生活習慣などは、自律神経系のバランスを崩し、体温調節機能に影響を与える可能性があります。特に交感神経の機能低下は、熱の産生を抑制し、低体温を招きやすくなります。
• 内分泌系の異常: 甲状腺機能低下症（橋本病など）、副腎機能不全などは、代謝を低下させ、体温低下を引き起こすことがあります。これらの疾患は、ホルモンバランスの乱れを通して体温調節中枢に間接的に影響を与えると考えられています。

２．熱産生の低下:

• 筋肉量の減少: 筋肉は熱を生み出す重要な器官です。加齢、運動不足、栄養不足などによって筋肉量が減少すると、熱産生能力が低下し、低体温になりやすくなります。特に高齢者は、筋肉量が減少しやすく、低体温のリスクが高いと言えます。
• 栄養不良: 極端なダイエットや偏った食生活は、体に必要な栄養素（特にタンパク質、鉄、ビタミンB群など）の不足を招き、代謝を低下させ、熱産生を阻害します。
• 特定の薬剤の使用: βブロッカー、抗精神薬、鎮静剤など、特定の薬剤は、代謝を低下させたり、血管を拡張させたりすることで、体温低下を引き起こすことがあります。

３．熱放散の亢進:

• 血管拡張作用のある物質の摂取: アルコール、一部の降圧剤などは、血管を拡張させ、熱放散を促進するため、一時的な低体温を引き起こす可能性があります。慢性的なアルコール摂取は、恒常的な低体温につながることもあります。
• 皮膚の疾患: 重度の皮膚炎など、皮膚のバリア機能が低下している場合、体温が外気に奪われやすく、低体温になりやすいことがあります。
• 末梢循環不全: 冷え性など、末梢の血流が悪い場合、体温が十分に運ばれず、低体温になりやすいことがあります。

慢性的な低体温は、免疫力の低下、代謝の低下、様々な疾患のリスク上昇など、健康に悪影響を及ぼす可能性があります。もし、長期間にわたって低体温が続くようであれば、自己判断せずに医療機関を受診し、原因を特定し、適切な治療を受けることが重要です。

また、日頃からバランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠を心がけ、ストレスを溜め込まないようにするなど、生活習慣を見直すことも、慢性的な低体温の予防に繋がります。

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