派遣社員は常時雇用に含まれますか?

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派遣社員は、派遣元企業が雇用主であるため、一般的な「常時雇用」の定義には該当しません。しかし、派遣先企業において継続的に業務に従事している場合は「常時使用」にあたり、その事業所の常時雇用者数に算入される場合があります。雇用関係ではなく、就労実態が判断基準となります。

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派遣社員は「常時雇用」に含まれるのか? – 雇用形態と就労実態の複雑な関係

「常時雇用」という言葉は、様々な場面で用いられますが、その意味合いは文脈によって異なります。特に派遣社員の場合、雇用関係と就労実態が異なるため、解釈が複雑になることがあります。派遣社員は「常時雇用」に含まれるのか? この疑問について、法的な側面と実務的な側面から掘り下げて考えてみましょう。

まず、大前提として、派遣社員の雇用主は派遣元企業です。つまり、派遣社員と派遣元企業の間には、労働契約が存在します。派遣先企業は、派遣社員に対して直接的な雇用関係を持つわけではありません。したがって、一般的な「常時雇用」の定義、つまり「期間の定めのない労働契約を結んでいる従業員」という点においては、派遣社員は派遣先企業の常時雇用者には含まれません。

しかし、「常時使用」という概念に目を向けると、話は少し複雑になります。「常時使用」とは、雇用形態に関わらず、事業所において継続的に業務に従事している労働者を指します。例えば、パートタイマーやアルバイトであっても、一定期間以上継続して就労している場合は「常時使用」とみなされることがあります。そして、この「常時使用」の人数は、企業規模の判断や、一部の法規制の適用範囲を決定する上で重要な要素となります。

派遣社員の場合、派遣先企業において長期間にわたり継続的に就労している場合は、派遣先企業の「常時使用」人員に算入される可能性があります。これは、雇用契約の有無ではなく、実際の就労実態に基づいて判断されます。例えば、半年以上の期間にわたり、ほぼ毎日、フルタイムに近い時間数で就労している派遣社員は、「常時使用」とみなされる可能性が高くなります。

では、なぜこのような区別が必要なのでしょうか? それは、労働法規が、雇用契約の形式だけでなく、実際の労働状況を重視しているからです。企業が、派遣社員を長期間にわたり継続的に使用している場合、正社員と同様の労働条件や福利厚生を提供する必要が生じる場合があります。また、企業規模に応じた義務、例えば、一定数以上の障害者雇用義務や、育児・介護休業法の適用なども、「常時使用」の人数に基づいて判断されます。

したがって、企業が派遣社員を受け入れる際には、単に派遣契約を結ぶだけでなく、派遣社員の就労実態を把握し、「常時使用」に該当するかどうかを慎重に判断する必要があります。特に、長期間にわたる派遣契約や、フルタイムに近い時間数での就労の場合は、法的なリスクを回避するために、専門家への相談も検討するべきでしょう。

このように、「常時雇用」と「常時使用」という言葉の違いを理解し、派遣社員の雇用形態と就労実態を総合的に考慮することで、企業は法令遵守を徹底し、適切な労務管理を行うことができます。そして、派遣社員自身も、自身の権利を理解し、安心して働くことができる環境を築くことができるでしょう。

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