破れないお札がある国はどこですか?

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オーストラリアが先駆けとなり、破れにくいポリマー紙幣が20カ国以上で採用されています。ニュージーランド、ベトナム、ルーマニア、チリ、カナダなどがその例です。ポリマー紙幣は耐久性に優れ、耐水性や防汚性も高いため、紙幣よりも長持ちするのが特徴です。

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破れないお札の国々:ポリマー紙幣の躍進と未来

現金が電子マネーに押されつつある現代においても、紙幣は依然として重要な決済手段です。しかし、紙の特性上、破れたり、汚れたり、劣化しやすいという欠点があります。そこで登場したのが、プラスチックの一種であるポリマーを使用した「破れないお札」。その耐久性、安全性、そして環境への配慮から、世界中で採用が広がりを見せています。

先駆けとなったのはオーストラリアです。1988年、建国200周年を記念して発行された記念硬貨に偽造防止技術としてポリマーを採用。その成功を受け、1996年には世界で初めてポリマー紙幣を流通させました。現在では、オーストラリアドル紙幣は全てポリマー製となっており、その耐久性は紙幣の約4倍とも言われています。

オーストラリアの成功に触発され、ニュージーランド、ルーマニア、ベトナム、カナダ、チリなど20カ国以上がポリマー紙幣を採用しています。これらの国々では、ポリマー紙幣の導入により、紙幣の寿命が延び、交換頻度が減少。結果として、印刷コストや輸送コストの削減、さらには環境負荷の軽減にも繋がっています。

ポリマー紙幣のメリットは耐久性だけではありません。特殊なインクやホログラム、透明窓などの高度な偽造防止技術を組み込むことが容易なため、セキュリティ面でも優れています。また、耐水性にも優れているため、洗濯機で洗ってしまっても破れたり、色落ちしたりすることがありません。さらに、汚れても簡単に拭き取ることができ、衛生面でもメリットがあります。

では、なぜ全ての国がポリマー紙幣に移行しないのでしょうか?導入には、初期投資として新たな印刷設備や技術が必要となるため、コストが課題となります。また、気候によっては紙幣がくっつきやすくなるなどの問題も指摘されています。しかし、長期的な視点で見れば、耐久性向上による交換頻度の減少や偽造防止効果による経済的メリットは大きく、導入国は増加傾向にあります。

さらに、ポリマー紙幣は環境にも優しいと言われています。紙幣と比べて製造に必要なエネルギーや水が少ないだけでなく、寿命が長いため、廃棄物の削減にも貢献します。また、リサイクルも可能で、使用済みのポリマー紙幣を他のプラスチック製品に再利用する取り組みも進められています。

近年では、ポリマー紙幣の進化も続いています。より鮮明な印刷技術や、触覚で識別できる特殊な加工、さらには環境負荷をさらに低減するためのバイオ由来のポリマー素材の開発など、様々な研究開発が行われています。

今後、キャッシュレス化がさらに進む中でも、紙幣は重要な役割を担い続けるでしょう。そして、ポリマー紙幣は、その耐久性、安全性、そして環境への配慮から、世界中の通貨の未来を形作る重要な要素となることは間違いありません。偽造防止技術の向上や、新素材の開発など、更なる進化を遂げながら、ポリマー紙幣は世界中でますます普及していくことでしょう。

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