てくる。ていく。の日本語文法の違いは?

40 閲覧数
「~てくる」は、過去のある時点から現在に向かって変化が進行していることを表します。「~ていく」は、現在から未来に向かって変化が継続していくことを表します。太ってきたのは過去からの変化、暑くなっていくのは未来への変化と捉えられます。
フィードバック 0 いいね数

「てくる」と「ていく」は、どちらも動詞の連用形「て」に続く助動詞で、動作や状態の変化を表す点で共通していますが、その変化の向きと視点に大きな違いがあります。単に「過去」「未来」と単純に区別するのではなく、話者の視点、つまり「基準時点」からの変化の向きを理解することが、この二つの助動詞を使い分ける鍵となります。

「~てくる」は、基準時点から話者の方向へ変化が向かってくることを示します。この「話者の方向」とは、必ずしも時間的な「過去」を意味するわけではありません。重要なのは、話者にとっての「現在」に変化が「到達」している、という点です。過去から現在にかけての変化を表すことが多いですが、状況によっては、空間的な移動を表す場合もあります。

例えば、「雨が降ってきた」という文を考えてみましょう。これは、雨が降っていない状態から、現在、雨が降り始めたことを表しています。過去の時点から、現在という話者にとっての「基準時点」に向かって、雨が降り始めるという変化が「近づいてきた」わけです。この場合、雨が降るという現象は過去から始まっていても、話者にとって重要なのは、現在その現象が起きているという事実です。

同様に、「寒くなってきた」は、過去のある時点から現在にかけて気温が下がり、寒くなっている状態を表します。基準時点である現在に、寒さという変化が「到達」しているのです。

一方、「~ていく」は、基準時点から話者から離れる方向へ変化が進んでいくことを示します。これは、時間的には「未来」を表すことが多く、現在から未来に向かって継続的に変化が進んでいく様子を描写します。

例えば、「暑くなっていく」は、現在から未来に向かって気温が上昇し続ける様子を表しています。話者の「現在」が基準時点であり、そこから未来へと向かって暑さが増していくという変化が「進んでいく」のです。

「暗くなっていく」も同様です。現在から未来にかけて、次第に暗くなっていく様子を表しています。 話者にとっての「現在」を基準に、未来へと変化が「進んでいく」様子が描かれています。

では、微妙な違いが生じる例を見てみましょう。「疲れてきた」と「疲れていく」です。「疲れてきた」は、過去のある時点から現在にかけて疲労感が増し、現在、疲労を感じていることを表します。一方、「疲れていく」は、現在から未来にかけて疲労感が増していくことを表します。前者は現在の疲労感を強調し、後者は未来の疲労感を強調する点でニュアンスが異なります。

さらに、空間的な移動にも適用できます。「車が近づいてくる」は、話者の方向に向かって車が移動してくることを示し、「車が遠ざかっていく」は、話者から離れる方向に車が移動していくことを示します。

このように、「てくる」と「ていく」は、時間的な過去と未来だけでなく、話者にとっての基準時点からの変化の向きを正確に捉えることで、より適切な表現を選ぶことができます。単なる時制の表現にとどまらず、変化の動態を鮮やかに表現するこれらの助動詞を、文脈に合わせて使いこなすことが、より自然で豊かな日本語表現に繋がります。 単なる「過去」「未来」という単純な理解を超え、話者の視点という重要な要素を考慮することで、より深い理解へと至ることができるでしょう。