日本の貯金額は世界で何位ですか?

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2023年のUBSの報告書によると、日本人の成人1人当たりの資産額の中央値は10万6999ドル(約1650万円)で、世界17位でした。円安の影響でドル建ての資産額の伸びが鈍化し、前年と同順位にとどまっています。

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日本人の貯蓄額、世界ランキングと意外な背景:見えてくる日本の課題

「日本人は貯金好き」というイメージは根強いですが、実際のところ、日本人の貯蓄額は世界的に見てどの程度の位置にあるのでしょうか? UBSが2023年に発表した報告書によると、日本人の成人一人当たりの資産額の中央値は10万6999ドル(約1650万円)で、世界17位という結果でした。一見すると悪くない順位ですが、この数字の裏には、円安の影響だけでなく、日本経済の構造的な問題が隠されていると言えるでしょう。

注目すべきは「中央値」という指標です。平均値ではなく中央値を使うことで、一部の富裕層が全体の数字を押し上げる影響を排除し、より実態に近い資産状況を把握することができます。それでも17位という結果は、先進国の中では決して高いとは言えません。

この背景には、まず円安の影響があります。ドル建てで資産を評価する場合、円の価値が下がると相対的に資産額も減少するため、円安は順位を押し下げる要因となります。しかし、円安だけが原因ではありません。

より重要なのは、長引くデフレ経済の影響です。物価が上がりにくい状況が続くと、消費者は将来の値上がりを期待せず、消費を控えて貯蓄に回りがちになります。また、企業も積極的に投資を行わないため、経済全体の活性化を妨げ、結果として賃金の上昇も鈍化します。

さらに、高齢化社会も貯蓄額に影響を与えています。高齢者は収入が限られるため、貯蓄を取り崩しながら生活する傾向にあります。また、将来への不安から、若い世代も貯蓄を重視する傾向が強まっています。

しかし、貯蓄だけでは資産は増えません。積極的に投資を行い、資産を増やす必要がありますが、日本では投資に対する抵抗感が依然として根強いのが現状です。これは、過去のバブル崩壊や金融商品の複雑さなどが影響していると考えられます。

世界的に見ると、資産形成において投資は重要な手段となっています。日本も、貯蓄だけでなく投資を促進し、個人が積極的に資産を形成できる環境を整備していく必要があります。

今回のUBSの報告書は、日本人の貯蓄額という数字を通して、日本経済が抱える課題を改めて浮き彫りにしました。円安対策はもちろんのこと、デフレ脱却、高齢化社会への対応、そして投資教育の推進など、様々な政策を総合的に進めることで、日本人の資産形成を支援し、経済全体の活性化につなげていく必要があるでしょう。貯蓄だけに頼るのではなく、将来を見据えた賢い資産運用が、今後の日本の経済を左右する鍵となるかもしれません。

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