トイレをあらわす「WC」。何の略?
日本で使われる「WC」は、water closetの略称です。water closetとは、水を流して排泄物を処理する便所、つまり「水洗便所」を意味する言葉の頭文字を取ったものです。
トイレの隠れた顔、「WC」の由来と時代背景
トイレを示す「WC」という表記、あなたは普段目にしますか?近年の新しい商業施設や公共施設では、ピクトグラム(絵文字)での表示が主流になりつつあり、若い世代にとっては「WC」の表記が何のことか分からない、という人もいるかもしれません。しかし、かつては当たり前のように使われていたこの「WC」という言葉、実はトイレの歴史と深く結びついているのです。
冒頭にあるように、「WC」は Water Closet の略称です。日本語に直訳すると「水のある個室」となり、水洗便所を指します。では、なぜ水洗便所が普及する以前は、このような具体的な言葉を略する必要があったのでしょうか?
それは、かつてのトイレが現代のように清潔でプライベートな空間ではなかったことに起因します。水洗便所が普及する以前は、汲み取り式便所が一般的であり、臭いや衛生面の問題から、人々はトイレを「汚い場所」として捉えていました。そのため、直接的な表現を避け、婉曲的に「Water Closet」と呼ぶことで、多少なりとも不快感を和らげようとしたのです。
Water Closet という言葉自体は、19世紀後半のイギリスで生まれました。ヴィクトリア時代は、まさに産業革命の時代であり、都市部への人口集中が進み、衛生環境の改善が急務となっていました。下水道の整備とともに、水洗便所が徐々に普及し始め、それを指す言葉として Water Closet が使われるようになったのです。
その後、Water Closet という言葉は、イギリスをはじめとするヨーロッパ諸国、そして日本へと伝わりました。日本においては、明治時代以降、西洋文化の導入とともに、水洗便所も徐々に普及し始めました。当初は、富裕層や洋館、ホテルなどで見られる程度でしたが、徐々に一般家庭にも普及していき、それに伴い、Water Closet を略した「WC」という表記も広まっていったのです。
しかし、時代は移り変わり、技術革新によってトイレは清潔で快適な空間へと進化しました。自動洗浄機能や暖房便座など、様々な機能が搭載され、もはや単なる排泄の場ではなく、リラックスできる空間としての役割も担うようになりました。
このような変化に伴い、「WC」という言葉も、その役割を終えつつあります。より直接的で分かりやすい「トイレ」や「REST ROOM」という表記、そして誰が見ても一目で分かるピクトグラムが主流になり、かつて街中に溢れていた「WC」の文字は、少しずつ姿を消しつつあります。
もし、街中で「WC」の表記を見かけたら、それは単なるトイレを示す記号ではなく、近代化の過程における衛生意識の変化や、トイレの歴史を物語る、貴重な生き証人なのかもしれません。次に見かけた時は、少しだけ立ち止まって、その背景にある歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
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