帳簿書類の保存期間は10年ですか?

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株式会社の会計帳簿と決算書類(貸借対照表など)の保存期間は、会社法により10年間です。帳簿は閉鎖日から、決算書類は作成日から起算します。 この期間は法令遵守のため厳守し、適切な保管方法を講じる必要があります。税務調査への対応も考慮すると、デジタル保存も有効な手段となります。

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帳簿書類の保存期間は本当に10年?会社法と税法の違い、デジタル保存の注意点

「株式会社の会計帳簿と決算書類の保存期間は10年間」というのは、一般的に知られている認識ですが、実はこれは一部正しいものの、全体像を捉えているとは言えません。確かに、会社法では会計帳簿と重要な決算書類の保存期間は10年間と定められています。しかし、税法上の保存期間はこれとは異なり、さらに注意すべき点も存在します。

会社法と税法の保存期間の違い

まず、会社法における帳簿書類の保存義務は、会社法第432条に規定されています。これは、会社の経営状況を明確にし、株主や債権者の権利を保護することを目的としています。

  • 対象書類: 会計帳簿(総勘定元帳、仕訳帳など)、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表、事業報告とその附属明細書
  • 保存期間: 10年間 (会計帳簿は閉鎖日から、決算書類は作成日から起算)

一方、税法では、法人税法や所得税法などに基づいて、課税所得の適正な計算と税務調査への対応のために、帳簿書類の保存が義務付けられています。

  • 対象書類: 帳簿(総勘定元帳、仕訳帳など)、請求書、領収書、契約書など、収入や経費に関するすべての証拠書類
  • 保存期間: 原則として7年間 (事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から起算)

つまり、会社法と税法では、対象書類や保存期間が異なる場合があるのです。特に、領収書や請求書といった証拠書類は、税法上の保存義務が重要になります。

どちらを優先すべきか?

原則として、より長い期間が定められている方を優先すべきです。つまり、会社法で10年間の保存義務がある書類は、少なくとも10年間は保存する必要があります。しかし、税法上の保存義務が7年間である書類についても、将来的な税務調査のリスクを考慮し、10年間保存しておくことが望ましいと言えるでしょう。

デジタル保存の注意点

近年、帳簿書類をデジタル化して保存する企業が増えています。デジタル保存は、スペースの節約や検索性の向上といったメリットがありますが、いくつかの注意点があります。

  1. 電子帳簿保存法の要件を満たすこと: 電子帳簿保存法は、一定の要件を満たす場合に、帳簿書類を電子データで保存することを認める法律です。要件を満たさない場合は、税務調査で否認される可能性があります。
  2. データの信頼性と安全性を確保すること: 電子データは、改ざんや消失のリスクがあります。そのため、アクセス制限やバックアップ体制を整備し、データの信頼性と安全性を確保する必要があります。
  3. 税務調査への対応: 税務調査では、電子データの提示を求められる場合があります。いつでもスムーズにデータを提供できるように、検索機能を整備し、保存場所を明確にしておく必要があります。

まとめ

帳簿書類の保存期間は、会社法と税法で異なり、対象書類も異なります。原則として、より長い期間が定められている方を優先し、デジタル保存を行う場合は、電子帳簿保存法の要件を満たすように注意が必要です。適切な保存方法を講じることで、法令遵守を徹底し、税務調査への対応もスムーズに行えるように備えましょう。

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