世帯分離が認められない理由は？

世帯分離が認められない理由

世帯分離とは、婚姻関係にある夫婦が別居し、それぞれが単独の世帯として認められることを指します。原則として、世帯分離は認められていません。

その理由は、以下の通りです。

法律上の相互扶助の義務

日本法では、夫婦は法律上、互いに扶助する義務を負っています（民法第752条）。この義務は、経済的な支援だけでなく、精神的・身体的な支援も含まれます。世帯分離を認めてしまうと、この義務の履行が困難になる可能性があります。

財産関係の複雑化

世帯分離が認められると、夫婦共有財産の分割や、扶養に関する問題など、財産関係が複雑化します。これは、夫婦間の争いを生じさせたり、第三者との取引に影響を与えたりする可能性があります。

例外的な場合

ただし、例外的に世帯分離が認められる場合があります。

• 生計を完全に別々に営んでいる場合：夫婦が別居し、経済的に独立しており、互いに扶助していなければ、世帯分離が認められる可能性があります。
• 片方が介護施設に入所している場合：片方が介護施設に入所している場合、生計が事実上分かれているため、世帯分離が認められることがあります。

なお、世帯分離の要件はケースバイケースで判断され、明確な基準はありません。裁判所が、夫婦の実情や経済状況、その他の事情を総合的に考慮して判断します。