救急で多い疾患は？

救急外来で頻繁に見られる疾患：その特徴と注意点

救急外来には、文字通り「緊急性」の高い症状を抱えた患者さんが多く搬送されます。命に関わる状態であることも珍しくなく、医療スタッフは常に緊張感を持って対応にあたっています。すでに多くの方がご存じのように、救急搬送される疾患として頻度が高いのは、脳疾患、消化器系の疾患、心疾患、呼吸器系の疾患です。これらの疾患群は、全体の搬送理由の大きな割合を占め、私たちの健康を脅かす身近な存在と言えるでしょう。

では、それぞれの疾患群について、もう少し詳しく見ていきましょう。

1. 脳疾患：

脳卒中（脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など）が代表的です。突然の激しい頭痛、麻痺、言語障害、意識障害などが主な症状です。時間との勝負であり、発症から数時間以内の治療開始が予後を大きく左右します。特に、顔、腕、言葉の麻痺や違和感を感じたら、ためらわずに救急車を呼ぶことが重要です。

2. 消化器系の疾患：

急性腹症（虫垂炎、腸閉塞、消化管穿孔など）や消化管出血（吐血、下血）などが挙げられます。激しい腹痛、嘔吐、下痢、血便などが主な症状です。原因特定が難しい場合もあり、迅速な検査と診断が求められます。日頃から便の状態や腹部の違和感に注意し、気になる症状があれば早めに医療機関を受診することが大切です。

3. 心疾患：

急性心筋梗塞、狭心症、不整脈、心不全などが含まれます。胸痛、呼吸困難、動悸、冷や汗などが主な症状です。特に胸の圧迫感や締め付けられるような痛みは、心臓からの危険信号である可能性があります。既往歴のある方は、緊急時の対応を事前に医師と相談しておくことが重要です。

4. 呼吸器系の疾患：

肺炎、気管支喘息、呼吸不全などが代表的です。咳、痰、呼吸困難、発熱などが主な症状です。高齢者や基礎疾患を持つ方は重症化しやすい傾向にあります。インフルエンザや新型コロナウイルス感染症など、感染症による呼吸器疾患も増加しています。日頃から手洗いやマスク着用などの感染予防対策を徹底することが重要です。

これらの疾患は、いずれも急激に症状が悪化し、命に関わる状態に陥る可能性があります。そのため、少しでも異変を感じたら、自己判断せずに速やかに救急外来を受診することが重要です。

最後に、救急外来は緊急性の高い患者さんを優先的に診察します。緊急性の低い症状の場合は、一般の医療機関を受診するように心がけましょう。救急医療を適切に利用することで、本当に必要な人が迅速に治療を受けられる体制を維持することができます。私たち一人ひとりが意識することで、地域全体の医療体制を守り、より安全な社会を築いていくことができるのです。

#患者 #救急 #疾患