「全然」の本来の意味は?
「全然」の本来の意味
「全然」という語は、日本語において意味が大きく変化してきました。現代では主に否定文で「まったく」という意味で使われていますが、その本来の意味は全く異なっていたのです。
「全然」の語源は中世後期に遡り、「ぜんぜん」と発音されていたと言われています。この時代、「全然」は「完全に」「すっかり」という意味の副詞として肯定文で使われていました。
例えば、室町時代の文献には「全然これを御覧じ候へ」という表現があり、これは「この書簡をじっくりとお読みください」という意味で使われています。
江戸時代に入ると、「全然」は「まったく」「全くない」という意味の否定を表す語として使われるようになりました。ただし、この用法は当初は少数派で、肯定的な意味で用いられることが主流でした。
近代以降の変化
19世紀末から20世紀初頭にかけて、「全然」の否定的な用法が急速に広まりました。これは、否定文における「まったくない」という表現が「全然ない」と変化したことが要因の一つと考えられています。
さらに、西洋文化の影響により「まったく」という否定表現が普及したことでも、「全然」の否定的な意味が定着しました。
NHKの主張
NHKは、現代日本語における「全然」の否定的な用法はもともと本来の意味とは異なり、近代以降に定着した用法であると主張しています。この主張には一定の根拠があります。
- 古典文学や江戸時代の文献を調べると、「全然」が肯定的な意味で使われている例が数多く見られる。
- 近代以前の文献では、「全然」の否定的な用法はほとんど見られない。
ただし、NHKの主張が完全に正しいわけではありません。「全然」が否定的な意味で使われるようになったのは近代以降ですが、そのプロセスは徐々に進んだものであり、ある時期をはっきりと線引きすることは困難です。
現代日本語における用法
現代日本語において、「全然」は主に否定文で「まったく」という意味で使われます。ただし、肯定文でも「まったく」「完全に」というニュアンスで用いられることがあります。
例えば、次のような文があります。
- 「この料理は全然美味しい」
- 「彼は全然勉強しない」
- 「この作品は全然面白い」
最初の文は「まったく美味しくない」という意味、2番目の文は「まったく勉強しない」という意味、3番目の文は「まったく面白い」という意味を表しています。
「全然」は、日本語で最も一般的な否定表現の一つとなっています。その意味の変遷は、日本語の歴史と文化の変化を反映しています。
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